数学の答え、結婚相手、そして食べる場所を効果的に見つける方法

私達は毎日毎日、決断を迫られている。その上、以前決めたことが後に影響を及ぼすようなことは枚挙に暇が無い。その中でも特にシリアスなものの1つは、パートナーを見つけることだ。ほとんどの人々は出来る限り良いパートナーを見つけたいと願っている。

by Alexandre Martins


(運命の決断を何度も味わうことはできないが)決断する過程を疑似体験することはできる。「Googol」は、その1つの手段だ。マーティン・ガードナー(Martin Gardner)が「Scientific American」(日本版は「日経サイエンス」)で連載している彼のコラムにて紹介したゲームだ。テーブルを挟んで向き合う。テーブルの上には、数字を書いたカードを伏せて置いておく。それぞれのカードの隠れた側に金額が書いてあって、1度に1枚だけ見ることができる。そして書かれている数字分の金額を貰うか否かを決めるというゲームだ。もちろん、高い金額を得たほうが勝つ。さて、どうやって決断しようか?


数学者はこのような問題をどのように考えるのだろうか? 決断の機会があるたびに、成功しなければならない。報酬(パートナーや、いくらかのお金)を決める機会があるたびに、立ち止まって手に入れるか、また別のリスク・・・決断するリスクをとるかを選ぶ。このような問題に対する数学的アプローチを最適停止問題(optimal stopping)と呼ぶ。

最適停止問題(Optimal Stopping)

さて、あなたが会ったパートナーになる可能性のある人全てを、一人も同じ順位になることがないように、一列に(ランキングのように)並べることができると考えてみよう。しかし全てのパートナー候補を見ることができない場合は、会ったことがある人だけでランキングをつくり、その中の候補者よりも良い人を見つけたら、それとわかるようにしておかなければならない。
パートナーになる可能性のある人がN人いると仮定し、1からNまで順位づけをする(1が最下位、Nが最上位とする)。出会う順番はランダムであるとしておこう。仮にN=4とすると、出会う順番は下記のように24通りある。
パートナーになる可能性がある人(又はお金の合計)を全て見たら、一人も同じ順位になることがないように一列に並べることができると仮定する。

ところで、目的は何だったかな? この目的をもっとも単純にモデル化*1すると、ベストパートナーと出会う可能性をできる限り大きくすることになる。


それでは、最も優れた選択方法を紹介しよう。まず(M-1)人のパートナー候補を見る(ここでMは、1以上N以下とする)。そして(M-1)人の中でベストな人を選ぶ。次にM人目以降に出会う人の中で、「ベストな人」よりも良い人がいたら、すぐさまその人を選ぶ。この選択が、ベストチョイスだ。その理由は、パートナー候補が2人だったとすると、その2人が世の中的に見て素晴らしい2人なのか、それとも最悪の2人なのか、判別がつかない。たとえ片方がもう一方よりも優れていたとしても、最悪の2人を比較しても意味がないわけだ。だから手遅れになる前に、あなたは比較するための情報を得なければいけない。*2

N=4のとき、M=1,2,3,4の場合において、あなたは下記のような表を作ることができる。

ここでは最良のMは2だ。このとき、あなたは24通りの出会い方のうち、11パターンの出会い方で、ベストパートナーを見つけることができる。


ところで、より大きなNに対してはどうなるだろうか?

Nが5のとき(120の可能性)も6のとき(720の可能性)も、同じ方法で考えることができる。しかし大きな数になってくると、より単純に(短時間で)答えを見つけるよう努めたほうがよい。Nが大きくなってくると、どの数が決まったNに対するMに最適なのか、シンプルな関係性が見えてくる。37%ルールというものだ。この関係性について知りたかったら、最適停止問題について、よくよく調べてみよう。

まとめ

このようにモデルを作ることは、興味深い結果を与えてくれるのだが、ゼロ歳児には人生でどのくらい数の潜在的なパートナーに出会うのかわからない。ピータートッド博士は、その問題の方向を転換した。考えられる潜在的なパートナーの数を見積もろうとするのではなくて、たいていの人々に役立つルールを提案した。彼は、典型的な人が1ダースの潜在的なパートナーを数えて(訳注:まだ決めないで)、それから真剣にパートナー選びを開始するべきだと提案した。最初の1ダースは、妥当な選択をするのに十分な情報を与えてくれるだろう。

食べる場所を探す際も、この考え方を使うことができる。おなかがぺこぺこになりきるまでの時間は限られていて、7〜8軒のカフェやレストランを見た段階でだいたいの見当をつけることになるからだ。この場合、選ぶまでに2〜3軒を見るのが、あなたが満足するための最適解になる!

感想など

by id:kany1120
英語もだけど、数学がわからなくて困りました。。。
wikipediaに「最適停止問題」の項がないので、それの登録も早急にしたいと思ってます。
日本語でも、こんな雰囲気の、数学と絡めたちょっと面白い話がもっと目につくようになるといいなぁ。

  • ポイント単語
    • model
      • 【名-1】 モデル、模型{もけい}、型、構造模型{こうぞう もけい}
      • 【名-2】 手本{てほん}、ひな型、見本{みほん}、模範{もはん}、かがみ、規範{きはん}
      • 【形-1】 模型{もけい}の
      • 【形-2】 手本{てほん}となる、模範{もはん}となる
      • 【自動】 模型{もけい}[原型{げんけい}・ひな形]を作る、モデルになる
      • 【他動】 〜に倣って作る、〜の模型{もけい}[原型{げんけい}・ひな形]を作る、かたどる、形に表す

*1:全ての数学モデルと同様に、私たちはいくつかの仮定を必要とする。このモデルは、現実の世界を単純化しているのだが、私たちは、このモデルを構築するやり方に同意する必要がある。

*2:Mは、あなたが出会うであろうパートナー候補の最小数である。よって、あなたが選別を始めるにあたって手に入れられるのは、(M-1)人分のデータである。M人目は、あなたがOKサインを出すことのありうる初めの人だ